先日購入したキャノンのコンパクトデジカメPower Shot SX280HSには位置情報を記録するGPSロガーという機能が付いています。機能的にどの程度のものなのか調べてみました。
SX280HSのGPS関連機能
SX280HSにはGPSで計測した位置情報を利用する次の機能があります。
1) 撮影時の位置情報を写真データに埋め込む。
2) GPSロガーとして撮影とは無関係に位置情報を記録する。
1)については撮影時の位置情報を写真データ内にGEOタグとして埋め込みます。するとGEOタグに対応したアプリケーションにより、その写真がどこで撮影されたか分かるようになります。何年か経ってからこの写真はどこで撮ったのか確認したい時に重宝します。
2)はこの記事で取り扱う機能です。
GPSロガーとは
まずGPSですが、Global Positioning Systemの略称で全地球測位システムというものです。簡単に言うと緯度、軽度情報を計測して現在地の確認等に利用するものです。カーナビゲーションシステムや最近ではスマホにも搭載されていますね。
GPSは簡単に位置情報を計測できるため便利な機能ですが、GPS衛星が発する電波を受信して位置を割り出しているために電波を通しにくい屋内や地下では利用できません。
GPSロガーとは、一定の時間や移動距離ごとにGPSで計測した位置情報を記録する機能の事です。登山や旅行で移動経路の記録するために使用します。単体でGPSロガーとして販売されている物もあります。
SX280HSのGPSロガー機能を使う
通常はオフに設定されているはずなので、メニューを開き「GPS設定…」内にある「GPS」と「ロガー」の項目を共に「入」にします。
「ロガー」を「入」にしている間、位置情報がn秒ごとに計測されてメモリカードに書き込まれます。これはカメラ本体がオフにしても行われるためバッテリーの消耗に注意が必要です。ただ、本機のバッテリーの容量が大きく、GPSロガーによる消費電力はかなり小さいようなので一日記録し続けても消耗具合は判りませんでした。ロガーだけ使うとかなり長い期間記録できそうです。
なお、GPSロガーが動作している時に本体の電源を切ると液晶画面にロガーは動作中である旨が数秒間表示されますので、ロガーの切り
忘れについては一応配慮されています。
機能面では期待しないほうが良いでしょう。まず、機能設定する項目が全くありませんので、他のGPSロガーのように計測間隔を変更したり、一定時間毎に記録でなく、一定移動距離毎記録にするような事はできません。
GPSロガーのデータファイルとフォーマット
SX280HSのGPSロガー機能をオンにすると、計測された位置情報はメモリカードにある「DCIM/CANONMSC/GPS」ディレクトリ内に「nnnnnnn.LOG」というファイルが作成されます。ファイル名のnは一桁の数字を表しています。意味としては先頭から記録日の西暦下二桁、月二桁、日二桁に0から始まる連番一桁の7文字だと思われます。例えば2013年6月14日に記録された最初のデータは「1306140.LOG」というファイル名で保存されていました。
このデータのフォーマットについてはカメラの取説には何も記されていません。テキストエディタで開いてみるとカンマ区切りのテキストデータになっています。
いろいろ調べてみると入っているデータは自体は米国海洋電子機器協会が定めるNMEA 0183という規格のフォーマットで記録されているようです。
GPSロガーのトラック情報を表示するには
GPSロガーで記録された位置情報の軌跡は一般に「トラック」と呼ばれます。これをビジュアルに地図上に表示したい場合は専用ソフトが必要です。
Windowsであればカシミールというフリーウェアが対応していると思いますが、私は試していません。他に有名所ではGoogle Earthが読み込めるようなのでGoogle Earthにて表示してみます。
なお、ここではLinux版を使用していますが、Linux版Google Earthはソフトウェアセンター等には入っていないため、Googleからダウンロードしてインストールする必要があります。
Google Earthを起動し、ファイルメニューの「開く」でGPSロガーのデータファイルを指定すれば簡単に表示できました。なお、開く際に「ファイルの種類」にて「Gps」を指定しないとダイアログのファイル一覧に表示されませんので注意してください。
ここではLinux版Google Earthを使って表示させてみました。このように航空写真にトラックをオーバーレイさせて表示するので移動した経路が分かりやすいです。このトラックのデータは先日須磨駅から離宮公園に訪れた時のもので、出発地点は須磨駅の南側、その後北上し、公園内に入った後ウロウロしています。公園から出る少し前にGPSロガーをオフにしたのでトラックの最終地点は公園の出入り口付近です。
位置情報を含む写真やトラックデータの公開には注意が必要
GPSで計測された位置情報はかなり正確です。その情報を含む写真を公開すると第三者が容易に撮影位置を特定することができます。先日投稿した須磨と離宮公園で撮影した写真のようにごく一般的な撮影場所であれば問題無いと思いますが、例えば山奥のすばらしい自然の風景を撮影した場合はその位置情報が公開された事により、沢山の人が訪れて荒れてしまい自然が台無しなるような事も考えられます。
また、自宅で撮影した写真や自宅から開始、到着しているトラックデータをそのまま公開した場合は個人宅が第三者に特定されてしまいます。
普段はGPSをオフに設定し、必要に応じてオンに切り替えるのが手っ取り早いのですが忘れてしまいそうです。撮影後に写真データからGEOタグを削除する事は可能なので公開する写真に応じてGEOタグを削除するのも一つの手です。
また、トラックデータの場合は編集して自宅付近の位置情報を削除すれば良いでしょう。
ただ、分かっていてもGPS機能を利用しているとそのうちにうっかりと自宅位置を公開してしまいそうですね。