年末年始はちょっと忙しくて更新できませんでした。今年初めての記事はオープンソースのロールプレイングゲーム、Flareの紹介です。
初めにお断りしておきますが、Flareはゲームエンジンであり、しかもまだ開発段階のソフトウェアです。この記事の作成している現在でもまだアルファ版となっています。しかしながらインストールするとデモゲームで遊ぶこともでき、将来的にはかなり良さげなゲームになりそうなので取り上げてみます。
Flareとは
FlareとはクロスプラットフォームのRPG向けゲームエンジンです。機能的には2DアクションRPGであり、オフラインシングルプレイ専用みたいです。
ゲームエンジンとして開発されていますが、実際にゲームを構築して共通化や最利用可能なコードを元にゲームエンジンを開発する、みたいな手法で行われているためゲーム自体もセットで開発されているようです。このデモゲームも含めて「Flare」として配布されており、インストールすればすぐに遊べます。
Flareの開発はオープンとなっており、ソースコードのライセンスはGPL3となっています。デモゲームのデータについてもクリエイテイブコモンズ「BY-SA(表示-継承)」でライセンスされているため、規定の条件を満たせば第三者が二次製作に利用できます。
この記事の作成時における最新版はバージョン0.17です。現在はアルファ版ですが、Ubuntuで試した限りはかなり安定しています。公式サイトではベータ版について言及されていたのでもう少しすればベータ版もでそうです。
Flare公式サイト
http://flarerpg.org/
対応するOSはWindows、OSX、Linuxになっています。本記事ではLinux版をUbuntuまたはLubuntu上で動作させています。Windows版やOSX版についてはテストしていないため、若干異なる点があるかも知れません。
なお、Ubuntuではリポジトリに含まれており、ソフトウェアセンターで「flare」を検索すると出てきますので簡単にインストールして遊べます。しかし、残念ながらバージョンがV0.15と少し古いため、公式サイトからダウンロードしてインストールした方が良いでしょう。インストールについては後で詳しく説明します。
ゲームについて
Flareに同梱されているデモゲームは2DベースのアクションRPGです。
パーティメンバーは構成できず、プレイヤーキャラ単独でマップ上を歩き、敵に遭遇するとリアルタイムで戦闘を行なって経験値を稼ぎます。倒された敵は時々アイテムやお金をドロップします。また、マップ上に存在するNPCとアイテムの売買を行ったり、特定のNPCからはクエストを依頼されることもあります。クエストの目的を達成すると経験値と場合によってお金が貰えます。
経験値が貯まるとレベルアップし、その際に下記の4つのパラメータに対してポイントを加算してパラメータを強化できます。いわゆる「ジョブ」の概念は無く、これらのパラメータの割り当て方で、近接戦闘に特化した戦士タイプや魔法に特化した魔法使いタイプ、あるいは多少能力は下がるものの両方の特徴をバランス良くミックスしたタイプなど自由に成長させる事が可能です。
- Physical
- Mental
- Offense
- Defense
装備する武器や防具などのアイテムはこのパラメータの制限を受けます。また、レベルアップ時に得られるスキルポイントのようなもので近接攻撃、遠隔攻撃、魔法のスキルをアンロックすることができますが、これらのスキルもパラメータの制限を受けます。従ってどのパラメータを成長させるのかはかなり重要です。
全容はまだ見れていませんが、チョコット遊んでみるとマップやクエストはまだまだ少ないようです。マップ間移動のポイントがあるのにどこにも行けない状態のものがいくつかあったので今後マップが拡張される予定ではないかと思います。なお、リポジトリにあった V0.15と比べると今回ビルドしてインストールした V0.17ではワープゾーンという特殊なエリアが追加されたり、システムが変更されたりとデモゲーム自体も進化しています。
というわけで肝心のゲーム内容については今後に期待です。
下記のスクリーンショットはFlare V0.17をLubuntu12.10上で実行しているものです。これとは別にUbuntu12.10でも動作させていますが、いずれも大きな問題もなく動いています。
日本語はやはり・・・
Flareは海外製なので基本は英語です。設定画面には言語設定からいくつかの言語が選択できますが、日本語の選択肢はありません。なお、V0.15には設定画面自体がありません。
ソースを覗いてみると日本語の言語ファイルが含まれています。また、下記の設定ファイルにも言語設定があったので試しに日本語に設定すると一応日本語化されたものの、機械翻訳したようで変な日本語でした。しかも、字数の関係でボタンやテキストフレームの枠からはみ出たりして一部読めない場合もあるため、公式にはサポートしていないと思います。
日本語表示にするには「~/.config/flare/settings.txt」の内容を下記のように変更し、保存します。その後、ゲームを起動するとインターフェースやゲーム中の会話等が日本語で表示されますが、現在の言語ファイルに含まれていないものは英語のまま表示されます。ただし、リポジトリからインストールしたV0.15では日本語に設定すると文字が豆腐になってまったく読めなくなりました。
変更前
# 2-letter language code.
language=en
変更後
# 2-letter language code.
language=ja
日本語表示に変更した場合のスクリーンショットを掲載しておきます。
Flareのインストール
公式サイトではパッケージは配布されておらず、ソースでしか配布されていません。ビルド方法はその中に書かれていますが、Ubuntu上にビルドしてインストールする方法をメモっておきます。インストールされる方はまだアルファ版であることをお忘れなく。
まずビルドに必要なパッケージをインストールします。
$ sudo apt-get install libsdl1.2-dev libsdl-image1.2-dev libsdl-mixer1.2-dev libsdl-ttf2.0-dev cmake make g++ git
続いてFlareの公式サイトからLinux用のソースファイルをダウンロードします。V0.17の場合は「flare_linux_v017_1.tar.gz」というファイル名でした。
次に適当なところでこのファイルを展開します。私はホームディレクトリにtempディレクトリを作成し、その中にダウンロードしたファイルを展開しました。
展開とするとそこにサブディレクトリ「flare_v017_1」が作られますのでビルドします。
$ cd flare_v017_1
$ mkdir build
$ cd build
$ cmake ..
$ make
うまくビルドできたら、インストールします。デフォルトでは「/usr/local」にインストールされます。この作業は管理者権限が必要です。
$ sudo make install
インストールできたら下記のコマンドでFlareが起動できるはずです。Flareのウィンドウが開き、右上にV0.17と表示されていればOK。
$ flare
また、メニューのゲームカテゴリにFlareが登録されていると思います。
もし、上記のようにインストールしたFlareをアンインストールしたい場合はこのmakeではアンインストールを実行できないため、手動でファイルを削除する必要があります。
まず、メニュー項目は手動で編集して「Flare」を削除します。
次に下記のディレクトリ、ファイルを削除すればアンインストールは完了です。
/usr/local/games/flare
/usr/local/share/games/flare
/usr/local/share/applications/flare.desktop
/usr/local/share/icons/hicolor/scalable/apps/flare.svg