AspireONEに8.10をインストールすると以前にも書いたとおり、固定IPが設定できない、無線LANが使えなくなったり、有線LANも使えなくなったり、突然死したりと最悪でしたが、なんとか動く状態まで持ち込めました。なかなかうまく設定できなったのは自分のスキル不足が大きな要因なのですが・・・。
もう数日するとUbuntu9.04が出るので今更いらね、と言われそうですが、復活したAspireONEでUbuntu8.10による固定IPでうまく設定できたのでまとめてみました。なお、ここではwicd+ath5kドライバで設定しています。
8.10の問題点と調査結果
1)固定IPが設定できない
8.10で標準的にインストールされるNetwork ManagerはDHCPを利用しない固定IPアドレスでの運用方法ではうまく設定することができません(これはバグのようですが)。
Network Managerで固定IPアドレスを設定する方法がUbuntu日本語フォーラムに掲載されていますが、最初に設定する有線LANはこの方法で問題なく設定することができ、インターネットにも接続する事もできました。しかし、この状態で無線LANを追加すると有線、無線共に接続できなくなり、結局Network Managerの使用は諦めました。今回はNetwork Managerの問題を回避するため、有線LANを手動設定したうえで作業を行いました。
ただし、この内容については3月ぐらいの話なので今ならNetwork Managerの固定IPの問題はすでに解決しているかもしれません。Network Managerが好みの方はそのまま試してみるのも手です。
2)無線LANが使えなくなった
以前の8.10のインストール作業ではインストール直後にmadwifiドライバが組み込まれていないことを確認して作業を進めていました。ところが、madwifiドライバはUbuntuのインストール時には組み込まれず、後で組み込まれるのです。これに気がつかずそのままath5kを導入したためにバッティング。その結果、無線LANが突然動かなくなったように見えていたのでした。・・・3回目のインストールで気が付きました。情けない。今回はmadwifiドライバを削除する手順を入れています。
3)有線LANが使えなくなった
カーネル2.6.26-11は当初有線LANの不具合が生じたようです。その後、2.6.26-11は4月中旬頃に再度アップデートされ、それ以降有線LANにて接続できるようになりました。ということでこちらは現在問題無しです。
以下は手順になります。
AspireONEにUbuntu8.10を新規インストール
Ubuntu8.10のインストール用のディスクとUSB接続のCD-ROMドライブを用意すれば、インストール自体はとても簡単です。今回はちょうど雑誌の付録についていたものを使用しました。ついでなのでホームディレクトリの必要なファイルだけバックアップし、各パーテションのフォーマットも行って綺麗にしておきました。
AspireONEのデフォルト設定ではUSB接続のCD-ROMドライブからブートできません。この場合、ブート時にACERのロゴが表示されたらF12を押してブートメニューを開き、メニューからCD-ROMドライブを選ぶと一時的にそのドライブからブートできます。また、画面解像度が低いためインストーラのダイアログの下の方が切れて、「進む」ボタンが押せないときはAlt+左ドラッグでマウスカーソルの形状が変わり、ダイアログを自由に動かせますので位置を調整してください。
設定するLAN環境について
ここでは次のLAN環境を想定しています。・・・私の環境その物です。
無線ルーター 192.168.1.1 (このルーターを通してインターネットに接続)
パソコン有線LAN 192.168.1.14
パソコン無線LAN 192.168.1.15
サブネットマスク 255.255.255.0
有線LANの手動設定
8.10のインストールが完了したら、まず手動設定で有線LANに接続します。ここからは通常の方法ではありませんので注意してください。
1)ネットワークマネージャの設定削除
ネットワーク接続ダイアログで有線、無線LANの設定(Auto eth0等)を全て削除し、ダイアログを閉じます。
2)IPアドレスを手動設定
interfacesという設定ファイルに有線LANのIPアドレスなど設定します。手動設定した項目はNetwork Managerに無視されます。
sudo gedit /etc/network/interfaces
新規インストールした場合、ファイルを開くと次の記述だけ有るはずです。
auto lo
iface lo inet loopback
その下に以下を追加します。下記のIPアドレスは仮定のものです。もちろん、自分の環境に合わせて変更してください。
iface eth0 inet static
address 192.168.1.14
netmask 255.255.255.0
gateway 192.168.1.1
auto eth0
3)ネームサーバーを手動設定
resolv.confという設定ファイルにネームサーバーのアドレスを設定します。
sudo gedit /etc/resolv.conf
開いたファイルにネームサーバーのアドレスを下記のように追加します。ここもご自分の環境に合わせてアドレスを設定します。新規インストールの場合、このファイルは空になっていると思いますが、もしかしたらネットワークマネージャが追加したアドレスが書かれているかもしれません。その場合は正しいネームサーバーのアドレス(家庭内であれば通常ブロードバンドルータのアドレス)を設定します。
nameserver 192.168.1.1
4)ネットワークのリスタート
設定を終えたら下記のコマンドでネットワークをリスタートさせ、ping等で動作確認します。
sudo /etc/init.d/networking restart
変更が正しく設定されていればリスタート後にインターネットにアクセスできるようになっているはずです。接続できない場合や他のマシンに投げたpingの応答がなければ2)と3)で設定した内容を確認してくだい。
パネルにあるネットワークマネージャアイコンには最初から、または1)の作業後から!マークのアイコンが表示されたままになっているはずです。このアイコンはネットワークが確立できない状態を表しており、現在は手動設定されているためこれで正常です。
接続ツールの入れ替え
無線LANの接続ツールをNetwork Managerからwicdに入れ替えます。この作業により標準インストールのNetwork Managerは削除されます。注意してください。
1)公開鍵の追加
端末を開き、下記のコマンドを入力します。これは次の作業で設定するリポジトリの鍵を入手する作業です。
wget -q http://apt.wicd.net/wicd.gpg -O- | sudo apt-key add –
2)リポジトリの追加
wicdのリポジトリを追加します。Synapticパッケージマネージャを開き、[設定][リポジトリ]の「ソフトウェアソース」ダイアログで「サードパーティのソフトウェア」タブに下記のリポジトリを追加します。追加したら再読み込みをクリックし、更新しておきます。なお、再読み込みするとアップデートアイコンが表示されると思いますが、全ての作業が終わるまでアップデートしない方が良いと思います。
deb http://apt.wicd.net intrepid extras
3)wicdのインストール
続いてパッケージマネージャで「wicd」を検索するとリストに表示されるのでマークします。その際、Network Managerのパッケージは削除される旨の警告が表示されます。マークできたら適用をクリックします。
wicdのインストールが完了した段階でNetwork Managerとネットワーク接続ダイアログを表示するメニューが消えているはずです。
リブート
パソコンをリブートさせます。
LANの設定(1)
上記リブート後、パネルにwicdのアイコンが追加されています。有線LANはすでに設定されていると思いますが、wicdのダイアログを開いて有線LANネットワークの設定確認を行います。
アップデートとリブート
赤い下向き矢印をクリックしてアップデートマネージャダイアログを開き、アップデートします。
終わったらリブートします。ここでAspireONEのBIOS突然死にやられて二度とブートできなくなりました・・・その後無事に復旧できましたが。
リブート後の確認
リブート後、システムログを見てみると、今まで無かったath_halとath_pciがロードされて組み込まれていました。どうやら自動でmadwifi0.9.4をインストールしてくれた様なのですが、ifconfigコマンドを実行しても無線LANインターフェースは見つかりません。なんて中途半端な・・。
madwifiドライバのアンインストール
せっかく入れてくれたmadwifiですが、今回はath5kを試しみたいのでmadwifiをアンインストールします。
sudo update-rc.d -f linux-restricted-modules-common remove
もし、madwifiを使う場合でもバージョンが古すぎるため一旦アンインストールして最新版を入れた方が良いかと思います。
ath5kドライバのインストール
今回無線LANのデバイスドライバは8.04で使用していたmadwifiドライバを入れずにath5kドライバを入れてみます。madwifiドライバはダウンロードしてインストールしますが、カーネルアップデートのたびにビルドしなおすのが少々面倒です。このため、公式リポジトリから入れることができるath5kドライバで楽をしようという魂胆です。このath5kドライバはmadwifiドライバと干渉するため、標準ではインストールされないそうです。
sudo apt-get install linux-backports-modules-intrepid-generic
インストールが完了したらリブートを促すメッセージがでると思いますのでリブートしてください。
LANの設定(2)
無線LANの設定を行います。
1)インターフェースの確認
端末で下記コマンドを入力します。いくつかのインターフェース名が表示されますが、その中に「wlan0」という表示があることを確認します。なお、madwifiを使用しているときは無線LANインターフェースは「ath0」と表示されます。
iwconfig
なければ・・・残念ながらath5kドライバはインストールされていないかも知れません。ath5kドライバのインストールの手順を確認してください。
2)手動設定したファイルの復旧
残していても問題なさそうですが、念ために最初の手順にあった「有線LANの設定」で設定したinterfacesのファイルをもう一度編集して追加した行だけを削除してください。
sudo gedit /etc/network/interfaces
なお、/etc/resolv.confについてはwicdにより上書きされるようなので放置で結構です。
3)インターフェースの追加
パネルに表示されているwicdのアイコンをクリックしてダイアログ出します。この時点ではダイアログに無線LANネットワークが見つからないと表示されていると思います。
メニューにある「設定」をクリックし、設定ダイアログを開きます。ここで「無線インターフェース」に「wlan0」を入力してください。ついでに「グローバルDNSサーバーを利用する」にチェックを入れてDNS1のところにDNSのアドレスを入れておけば何度も設定しなくて済みます。最後にOKを押して設定ダイアログを閉じてください。
4)有線LANの設定
「有線LANネットワーク」の三角マークをくクリックして詳細を表示します。「高度な設定」ボタンを押して「高度な設定」ダイアログを開きます。
上の方の「スタティックIPを使用する」にチェックを入れてIPアドレスなどを設定してください。先ほどグローバルDNSサーバーを設定した場合にはDNSのアドレスを設定する代わりに「..利用する」にチェックします。設定が済めばダイアログを閉じます。
5)更新
ここでWicd Managerダイアログのメニューにある「更新」をクリックしてください。近くの無線LANネットワークのESSIDが表示されるはずです。
6)無線LANの設定
接続したい無線LANネットワークの横にある三角マークをくクリックして詳細を表示します。「高度な設定」ボタンを押して「高度な設定」ダイアログを開きます。
上の方の「スタティックIPを使用する」にチェックを入れてIPアドレスなどを設定してください。先ほどグローバルDNSサーバーを設定した場合にはDNSのアドレスを設定する代わりに「..利用する」にチェックします。
暗号化方式とキーを無線ルータに合わせて設定すると完了です。
7)リブート
単に設定しただけでは有線LANから無線LANへうまく切り替えできないかも知れません。私の場合、リブートさせると切り替えできるようになりました。
以上で設定は完了です。
問題点とか
無線LAN用の新しいath5kドライバですが、今のところ大きな問題はありません。しかし、madwifiを使用していた時に点灯していた無線LANのLEDは点かなくなりました。
また、ドライバとの関連はよく分りませんが、しばらく放置するとインターネットに接続出来なくなる場合があります。これはmadwifiでも発生していた問題なのでひょっとしたらBIOSアップデートで直ったかも、期待していたのですが関係無かったようです。接続できなくなったらWicdで一度切断し、再度接続すると復旧します。